事例の主訴は、嫌な事があると教室から飛び出す事が多い。
黙って学校から家に帰ってしまうこともある。
登校しぶり、教室入室しぶり多数。パニックが激しいいときはチックのような身体症状が出るようです。
課題は、
①感情のコントロールと感情の整理...
②教室で授業を受けられる事と、されているようです。
学校では、嫌な気分やパニックになった時、クールダウンできるように、支援級をいつでも使える事、支援級には段ボールのトンネルもあります。本人はよく使っているそうです。
認知の特徴は、視覚処理優位。一方、聴覚処理は稀に大きな差で低いです。
このような場合は、状況に沿った言葉を添えるのが基本です。
気分を害したりした時の状況や感情を言語化しにくいので、支援級の先生は視覚的手がかりを使って丁寧にその都度振り返りをされているとのことです。
ポイント制度も使って、色々配慮や支援をされていました。
しかし、このように様々な逸脱行動は、発達の水準や認知特性からみると、
回避や逃避行動がほとんどです。
教室での授業は負荷が高すぎるのです。
支援級で出来る課題から積み上げて成功体験を積み上げていく事が先決だと思います。
ところが、本人自身が教室入室にこだわるとのこと。
そこで、先生が主導権を取る。
出てきました、毎回、このキーワードが!発想の転換です。
本人が出ていく前に、先生が言う。
「しんどそうやな。クールダウンしてきてもいいよ。落ち着いたら、また戻っておいで」
飛び出しが多いと、なんとかとび出さないようにとか、飛び出しが激しいと追いかけたりしがち。
先手必勝ですね。
この子、飛び出しには、注目要求も強く見られるので、校外に出てしまう場合は、追いかけないといけないけど、先生は無表情で追いかけ、戻ってきたときは褒めるが大事。
無表情で、っところがミソですね。
注目要求に応えるには、良い行動に対して。
脱走に大勢の先生が集まってくるより何か良いことで、先生たちが集まって来るようにするとか。
承認要求もとても強いようです。
因みに、障害が重い姉がいて、どうしても小さい頃から親の注目を取り合うので、愛着形成がうまくいかず、お母さんに甘えたい。
それで、姉とも激しい喧嘩が絶えない。
おうちでは、お母さんにハグして欲しがるそうで、お母さんもハグしてるそうです。
愛着形成に課題のある子は、言葉で褒めるよりも非言語で褒めた方が良いそうです。
笑顔やVサイン、ボディタッチとか。
他の子が褒められているとすごく妬むらしいです。そのくせ、言葉で褒めると嫌がるそうで。
難しいですね。
回避、逃避行動がおおいので、叱ることも必要。
ただし、肯定的に叱る。
「●●します。今は●●するときです」など。
放課後ディには週二回通っているので、そこではホッと出来る居心地の良さを提供してもらえ、学校での事を聞いてもらえて、共感してあげられるとベスト。
自閉傾向の子にとっては、学校だけで随分疲れるので。
以上ですが、ドクターは、体調不良を押して、参加してくださり、医療的見解をお聞きできました。ここで詳しくかけるほど医療的知識をまとめる事が出来ないので申し訳ありません。
やっぱり投薬って必要なんだなって思いました。
今回も伊丹先生や安原ドクターのコメントに目から鱗でした。
また、すごくセンスの良い先生方に見てもらっているんだなあと清々しい思いです。
子どもの行動にも自分の評価も100%ではなく25%で褒めていきましょう!
今回は、書字障害の上に、本人の思いやこだわり的思考が強く、他者からのアドバイスをすんなりと受け付けられにくい傾向があるので、色々と課題提出の代案提案をしても、本人が納得しないことには支援が難しいケースです。
ドクターの表現をお借りすると、「自分で考え、自分で決める」タイプです。
また思春期特有の目立ちたくない、自分で言うのは構わないが、先生たちには周りの生徒にわからないように必要な聞き取りや確認をしてほしい、と、恥じらい深い年頃への配慮が必要です。
さらに、聴覚や視覚で諸々の過敏さがあり、過集中していたり、気持ちが元気な時はエネルギー全開で頑張れますが、長続きしません。
頑張った分はドン!と疲れが襲います。
高校の友達は好き、苦手な教科はあるけど、好きな芸術活動ができる今の高校は好きだけどエネルギーの調整ができず、順調な登校や課題提出ができない、このままでは、進級が危ぶまれる、出席日数、課題提出の負にが軽い代替案はないものか、という検討会で、たくさん集まってくださった方々のお知恵を借りた検討会となりました。
会場から出された代替案は、伊丹先生がまとめてくださりました。
以下です。
なお、現在、高校では実に細やかな支援や配慮をしてくださっています。
*課題提出やノートテイクに、今以上にICTを使う。登校しなくても授業を受けられるようにビデオ、インターネット回線でのリアル視聴やスタデイサプリを使う。
*得意な事で代替。
*「〜しなさい」ではなく、提案型で。
*ノートはいらない
*苦手な体育は、服を着替えて、別の場所で運動。
何より困っている子に特化するのではなく、全体に配慮がある事を伝えていくユニバーサル支援視点が大事。
また、配慮というのは、努力の結果と取れるようにすることが基本。ただし、本人ができる努力をさせること。
とってつけたような配慮は、特別扱いになる。
以上を念頭に、ドクターの診断書を添えて、全教職員の理解を深め、保護者と学校の先生たちとの合意形成をしっかりして取り組む事が肝要!と、締めくくってくださいました。
また、ドクターからも、自己認知を鍛えるためにもカウンセリングの必要を強く促されました。
以上です。
中学進学を控えた6年生男子
今回のケースでは、学習障害だけではなく、愛着障害からきていると思われる行動の荒れや情緒的な不安定さが大きな課題です。
中学からの支援級在籍は抵抗感が強いのと、検査結果からも、実態把握の結果からも、環境からも中学で学習の遅れを改善することは期待できません。
だとしても、中学でできる支援を我慢強くお願いしていくことが必須な事例でした。とてもとても難しい事例です。
結論から言うと、伊丹先生から次のようなコメントをいただきました。
基本的にGAI〉CPI の傾向が強く、中でも
ワーキングメモリーの強みからは、機械的な記憶や記銘は強いけれども、ちょっと複雑な指示や説明はわかりにくい特徴があるので、刺さる言葉が効果的。
さらに、愛着障害からくる影響を考えると、非言語メッセージ(焼きつく絵)で褒めるのが良いというのが印象的でした。
まとめておきます。
①キーパーソンを決める。
若い同性のボランティア学生などが適任。友達感覚でよい。
1対1の関係から信頼関係を築く。
②感情の言語化
肯定的な内容で感情の公式を使う。
③主導権をとる。
難しいことではない。例えば、トイレに行きたそうにしていたら、「トイレに行きなさいlと言う。
④役割付与支援
次回は、5月10日です。
テーマは、男子の性的成長?に関するトラブルの捉え方と対応の基本です。
好きな女子の持ち物への関心や執着の強さが招く不適切な行動がエスカレートしており、必要な自立訓練もままならないという主訴でした。
学校としては、指導を繰り返しており、本人も不適切な行動だと理解はしているものの、止めることができない、という事でした。
こうした多くの場合で言えることは、「●●をしてはいけない」というダメ出しが指導の中心になり、「○○なら、しても良い」とか、「○○しなさい」と言った肯定的な指導がなおざりになりがちな事かもしれません。
もちろん、事例の学校の先生達は、そういう事も含んで指導を繰り返してこられたと思うのですが、上手くパズルのピースがはまらない焦りを抱えておられるようでした。
しかしながら、事例の子の学校から若い7人もの先生が来ていただき、会場からの厳しい意見にも謙虚で熱心に参加して耳を傾けてくださっています。
本当に有難い思いでいっぱいで、長年続けてきた事例検討会の重みを感じています。
さて、事例に即して考えると、
異性に関心を持ってきたことは喜ばしいことですから、受け止める側は、その関心を適切な行動をモデリングしてロールプレイする事を実践するべきという意見がでました。
検査結果からは、長期記憶と検索がもっとも強いので、口頭で言うだけではなく、モデリングしてロールプレイすると、知識として定着して運用しやすいからだそうです。
具体的にいうと、
①性的な興味には、犯罪にならないチラ見を教える、というものでした。
どんなチラ見って?
それは、ここではお伝えしないでおきます。参加された方だけが知っている事にしておきます。
また、どこまでが許されるチラ見か、学校と家庭で共通認識しておく事も忘れたくない事です。
②不適切な行動には、両立しない分化強化を使う。
応用行動分析の一つのスキルで、不適切な行動ができないような環境を作って、褒めて成功体験を積む事です。これは、口頭での修正だけではできません。
例えば、教室移動中に女子に触ったり、壁や物を叩いて迷惑な音を立てるような時、そのような不適切な事に手が使えないように、仕事や役割を与えます。教科や活動に必要なツールを持たせて運ばせるということです。
役割を遂げることができたら、みんなの前で褒める。
それをきっかけに、その仕事を自主的にかってでるようなら、しめたものです。
③他の楽しみを作ってゆく。
背景情報を読むと、学習能力は高く、支援学校で学ぶ内容は退屈で、しかも同年齢の男子との関わりも充分ではありません。
他に楽しみがないから、性的興味に執着してゆくことも考えられるというご指摘も受けました。
そこで、
学校だけの仲間作りにこだわらず、好きな電車の仲間と関われるような集いに参加するなどして、外に仲間を求めるのも、性的興味を緩めていく事に繋がるはず。
もちろん、学校行事の中で、男子同士の関わりをコーディネートする事も可能。男の若い男性教諭も何人かおられるようなので、一緒に遊んだり、つるむ事も大事では。
ここで、伊丹先生から、大事なコメントをいただきました。
「楽しみというのは、例えば、けん玉の達人と一緒にやっても面白くない。
下手だけど、実に楽しそうにけん玉している人と一緒にすると、楽しいとおもうものだ。」
本当に、その通りですね。
次のようなこともよくいわれますよね。
「成績優秀な人が必ずしも上手い指導ができるわけではない。落ちこぼれで勉強してきた人の方が教え方が上手い事がある」
④背景情報から、前頭葉の機能不全からと思われる衝動性も大きいと思われるので、抑制力を高める投薬の必要を安原Dr.からアドバイスいただきました。昨年は、コンサータとストラテラに加えて、インチュヌブというお薬もふえ、その思わぬ効果も臨床で確認されてきているようです。この辺りの情報が聞けるのは、Dr.がいてくださるので、本当に有難いです。
また、安原Dr.からは、性の不適切な行動を理解してくれる医師は基本男性じゃないと理解しにくいと思う、男性でも真面目一方の医師は避けた方がよいとのご発言あり、ご推薦していただいたDr.のお名前も記憶させていただきました。さもありなん。
⑤興味のあるものを強化子にすると、事例の子の場合は、それに執着してものすごい量になる。例えば、気になる女子の持ち物に触るのはダメだけど、同じものを買ってあるのなら、写メで撮ってそれをカタログ化して冊子にしてみるのはok!
また、同じものを買うのも個数は制限しておいた方が無難。特性から際限がなくなるので注意、とDr.からもアドバイスいただきました。
⑥告知の課題について。
思春期までには、自己認知をやっておいた方がよい。
診断名を告げるのではなく、自分とは何者かをを知る事だ。
どんな得意があって、どんな課題を持っていて、それをどのように乗り越えたらよいのか、具体的に伝えることが大事。
Dr.からも、たまに診断名を告げることはあるが、課題に肯定的に向き合う具体的な方法は必ず伝えるということでした。
今回は、フェイスブックへの投稿記事の反応数が極端に少なかったのですが、いつも通りたくさんご参加くださり、ありがとうございます♪
非常に活発な議論が飛び交い、いつものように逆発想豊かな安原Drや、ウィットに飛ぶ伊丹先生の返しが溢れて、和やかで楽しい検討会ができました。