本文へスキップ

2023年事例検討会:宮本ゆみこ のびのびキッズ代表

●2024年3月14日事例検討会

今回の事例児童は小学校4年女子
ASDと診断されて非常に繊細な感覚過敏のために、
集団で学ぶことが難しいケースです。

保護者からは、主に4つの合理的配慮が出されており、
他にも課題によって、学校には意味不明な理由で、
課題をしたがらないなど、学校としては,合理的配慮の必要性に
なかなか納得いかないようでした。

もちろん、学校が何も配慮していないわけではなく
よく頑張っておられるなあと思いました。
しかし、納得して環境を整えておられるわけではなかったのです。
一方、保護者はこどもさんが訴えてくる感覚的な辛さが
なかなか学校にわかってもらえないもどかしさを抱えておられました。

更に、小さい頃から次々と色々な病気を患い、
それぞれの専門の病院をいくつも抱えておられます。
きっとお子さんが困っているのは、
ASDの特性からくるだけではないと思いました。

しかし事例を通して困り感の要因について、
明確に医療的見解をドクターは示してくれて、
学校の理解が深まり支援が進みました。

ただ、学校の環境理解が進んでも
お子さんはルンルン🎵と登校できるようになるかはわかりません。
でも、少しでも困り感に寄り添い納得いく支援が進めば、
次の子どもたちの支援につながります。

今回は伊丹先生と安原ドクターの大先生がお二人参加してくださり
実りが多い時間となりました。

●2024年1月19日事例検討会感想

テーマは、「読み書き計算障害の子への支援」
事例対象者は、小学校5年男子
診断名は、ADHD ゲルストマン症候群

思考力は言語,非言語共に平均的な水準にあり、
小学校低学年から医療にもつながり、
集中力をあげる投薬治療も受けています。
認知の歪みはなく、対人関係は良好。
勉強は苦手でも友達がいるからか学校には楽しく通っています。
通級で週一回の45分授業も受けているのですが、
学習への苦手感をかなり抱いているためもあり、
担当の先生はやる気を上げるために、得意な事を差し込みながら指導。
でも通級は2023年にはじまったばかりで、時間も短く、
充分な指導ができないままに時間が過ぎて、
最近は通級に通うことを嫌がるようになっているとのこと。

さて、この子はゲルストマン症候があるために、
読み書き計算スキルが伸びないと、ドクターの見立て。
読み書き計算障害の原因は確か6つと昔聞きました。
指導法はあまり変わらないと思いますが、
ゲルストマン症候群からきている読み書き計算障害は、
習得できることには限界があるということを
支援者は認識する必要があるということが、
今回の事例では大きなポイントのようです。

ただ彼の場合は空間認知は良く構成能力は強いので、
不完全型のゲルストマン症候群のようです。
発達凸凹界隈では、
★努力はむくわれる
★継続は力なり
といった誰もが疑いなく唱える格言は、条件付きであることを
肝に銘じた方が良い。
どちらも、彼らに合った学びを通して成功体験をたくさん経験してこそ、
努力も継続も力になる。
結果、自分の弱さも強さも等身大で受け入れて、
弱さを補う術を会得してこそ、
自己理解を深めることができる。
それを導くことが、親も含めた支援者の務め。
指導の仕方は、この子の得意を活かし、
小五という年齢から、トップダウンで無駄なく自立するのに
必要な力を精選した個別指導計画を立てることが緊急課題。
そしてこれらの支援がうまく回るためには、
子どもへの肯定的な告知が避けられない。
すでに思春期真っ盛り。
大人の不用意な言葉に心を閉ざせば、
どんな有効な指導法も彼の心には届かない。

「馬を水辺に連れて行く事はできても水を飲ます事はできない」のだから。
安易に診断名などのレッテル貼りはしてはいけない。
どうせできないんだなと、自分を諦めてしまうような説明も禁忌
× 「●●はできるのに、どうして▲▲はできないの」
〇 「▲▲はできないけど、●●はできる。だから◇◇で代わりにやってみよう」
そう、
「習得内容には、これくらいの水準まではできるだろうが、
それ以上は周りがどうであれ、捨てても構わない」という私目線の徹底。
いいんじゃないでしょうか、あなた目線で息苦しくなる必要はない。

「読み書き計算スキルは、キーボード入力や音声入力、読み上げ機能、
写メ,録音、電卓使用、立式」などのICTによる代替の学びで
彼が達成感を持てること。
それらの学びをクラスでも行える合理的配慮の実践がのぞまれます。
この辺りの取り組みはじっくり話し合いながら
進めて行く必要があるでしょう。

いつも学校側から出されることが
「周りの子どもたちに合理的配慮をどのように説明したら良いのですか?」
ということ。
「平等ではなく、公平に整えるのが合理的配慮」
と、ドクターの一言が冴えます。

仮に塀の外からからサッカー観戦する時に、
背の低い子には足置きが用意されたら試合は公平に見られるが、
みんなに足置きが用意されれば、それは平等だけど、
必要がない背の高いはさらに背が高くなる。
その理屈で考えれば、説明は難しくないはず。
ただ繰り返すが、彼が自分を知り、それを受け入れられることが必須条件。
大人はちゃんと彼に向き合い、
彼の辛さや困難に寄り添いつつ
ダメ出ししたり、急かしたり、当てはまらない常識で幼い彼を追い込まないでほしい。
頑張ろう!大人。

くどいようですが、
親だから、大人だから偉いんじゃない。
育てにくく、学びにくい子どもを通して、大人は教科書にない学びを得る機会を与えられているのだから。
貪欲に彼らから学びたい
それが燻銀の大人になる栄養だから。
そして、彼を読み書き計算スキルが弱いという
狭義の見方で捉えるのではなく、
人生を楽しめる素養から見て彼を信じてほしい。

●2023年11月9日事例検討会報告

事例は、中3の男子の高校選択と進学後の配慮や支援についてでした。
幼児期にASDの診断を受けておられて、
ご家庭では、特性に応じた配慮はなさっておられたようです。
しかし、対人トラブルはないもの、不安がとても強く、
集団適応に苦労されて、不登校や別室登校などをされているようです。

電車やバスは乗れない、
人が多いとダメ
体育館など大きな部屋は苦手
買い物や外食も苦手

そんな状態で選べる高校はあるのか、という相談です。
医療,療育には繋がっておられるのですが、
投薬のほかにも認知を緩めるカウンセリングも必要なようです。
すでにいくつかの高校はお子さんも一緒にオープンスクールに訪れて、
お子さんが気にいった高校が一つあり、
その高校を受験するということは決まったようです。

その高校は、私立で自転車で15分くらいで行けて、
何より、この高校の先生たちの柔らかで柔軟な対応が
お子さんに安心を与えたようです。

それでも、親御さんはちゃんと通えるかが不安です。
そんな親御さんに
「高校の進路は本人が選んで決めること。
これから想定される困難はイメージできるけど
それはグッとおさえて、子どもが選んで決めたことを尊重する!
トラブルが起きた時は、その時、学校と連携する。
起こってもいない未来を悪く考えない!」
と、伊丹先生のエールが飛びました。
お子さんがちゃんと行きたいと思う高校を選べた事はよかったと思います

●2023年9月14日事例検討会報告

今回のテーマは、
「子どもに検査結果をもとに強みと弱みを伝えるとき」でした。
子どもさんに関わってくださっている心理師や
保育士さん他の専門家の方々も参加してくださり、
背景情報を聞きながら進めました。

Wiscの検査結果と背景情報を照らし合わせながら
お子さんの強みと苦手をあぶり出し、
年齢的に高学年なので、苦手の強化よりも
強みに注目した方が伸びると解釈します。
特に高学年ですから、苦手に注目して鍛える視点は避けて、
得意な力で代替して成功体験を積むことが、
この子の意欲を前向きに上げて自信へと繋げることになります。

今回は、視覚認知とワーキングメモリーが
言語理解や流動性推理と処理速度との間に
稀な大きさで低く出ているプロフィールでした。
詳しい解釈はここでは省きます。

さて、結果のフィードバックよりも大きな壁は、
この子に期待する親御さんの強い思いと
医療機関につながることで、この子が幸せになる道の模索です。
確かに、認知の凸凹が大きくても
学業にそれなりについていっている子は結構いるし、
適応能力が高ければ、特に問題がないようにも見えるし
投薬の必要も感じられない。
そんなふうに見える子どもたちは確かに多いのではないでしょうか。

さらに、認知の凸凹からくる
想定される躓きの中には、
本人の自己理解だけではどうにもできない環境との相互作用があります。
つまり周囲の大人の意識がこの子の弱さと強みを理解して
指導やアドバイスを適切に与えられるかです。

親でさえ,この子の努力が見えず,この子に寄り添うこともできず、
過剰な期待が子どもを追い詰めていき、
そのまま時が過ぎれば、子どもの心は折れて、、、、、
残念な未来が見えてしまうのです。

しかし、親御さんも追い詰められていることは、
背景情報を探れば見えてきます。
無理もないのです。こんなはずじゃない、
と強がらざるおえないのでしょう。
親である事を投げ出してはいないのは救いです。
間に入って、なんとか子どもが自信を持って生きてほしい、
親御さんはありのままのこの子を受け止めてほしい、
躓くであろうけど、好きな活動はあきらめないでほしい、

でも、どうやったら役割を果たせるのだろう?
と悩まれる心理師の方の逡巡は
多くの心ある支援者の日頃の姿だなと思います。
そしていつも思いますが、
本人たちは気がついているかどうかわかりませんが、
知らずに非常の多くの方々が見守ってくれていて
支えてくれているのだと思います。
それらの善のエネルギーが届かないはずはないと信じます。
そして気づいてほしい。
覚悟を持ってほしい。
あなたの子どもを助けられるのは
専門家や支援者ではなく、あなた自身だと言う事を。
グダグダしました。お許しください。

●2023年7月13日の事例検討会報告
割愛します

●2023年5月11日事例検討会報告

青年男子で,診断名はASD、現在B型就労継続支援事業所に
通所されています。
事業所でも、家庭でも、行動の抑制が効かず集団適応が難しい。
イライラしたり、思い通りにならないと迷惑行為が頻発

これまで何度も物損被害で弁償を繰り返してきたとのことでした。
改善されなければ、住まいも事業所もやめなければならない
切羽詰まった状態でした。
強度行動障害であることは明白です。
投薬や支援者の頑張りに頼る対応では支援が難しい状態のようです。
このような場合、子どもでもそうですが
専門の治療機関で矯正プログラムを受けるのも方法です。

しかし、その決断を本人も保護者も受け入れるのは簡単ではありません。
これまでの人生で,辛い経験をたくさんされてきて
環境を変えることへの大きな不安があるからでしょう。
問題解決にはタイミングというものもあります。
その機を逃さないで欲しいなと心から祈ります。

大阪ADHDを考える会 
のびのびキッズ