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2020年度事例検討会: 代表 宮本ゆみこ 
●2021年3月事例検討会は、会員限定でのZOOM開催のため、報告は割愛させていただきます。
●2021年2月事例検討会は、会員限定でのZOOM開催のため、報告は割愛させていただきます。
●2020年11月事例検討会まとめ報告

詳しいことはかけませんが、今回ほど、ドクターのコメントが欲しい事例はなかったです。
*てんかんと精神疾患との因果関係や鑑別
*優先されるべき治療方針や予測される副作用
*思春期に発症する精神疾患の予後や受け止め方
*背景情報と見合わない心理検査の結果の解釈
などです。
発症する要因には、外的?内的?心因があるでしょうが、原因を探っても、ほとんどが憶測であり、
色んな要素が重なっていったのだろうと思いますし、他の人が仮に同じような経験を積んだからといって、同じような疾患を持つわけではない事は当然です。よって、私たちとしては、とりあえず、今の状態にふさわしい対応、やめたほうが良い対応を探りました。

ふさわしい対応は、
*安心できる居場所作り
学校や地域の運動クラブには行かせない。
刺激が多く、人の目が気になる場で発作が起きた時 の自尊感情の低下を軽減するため。当分は家庭で
過ごす。
*感情の言語化
*役割付与  
誰かの役に立っているという経験の積み上げによる自己有用感を育てる
*計画は自分で決めて実行させる

ふさわしくない対応は
*ゲームは発作誘発に影響する対戦型のゲームはさせない。言葉の強みを活かしたゲームや作り上げるようなゲーム
*ゲームに勝る楽しみをたくさん作る。
ゲームをむやみにやめるように言えば言うほど、ゲームをやめない、宿題をやろうとした時に、親から宿題しなさいと言われてしたくなくなる。ダイエットには食べ過ぎは良くないと分かっていても、食べたらあかんと人から言われると食べてします。
など、自分の行動を他人から決められることで、「選択の自由が奪われた」と感じて、反発する態度を取ることを心理的リアクタンスと言います。

当分、家庭で時間を過ごすことは、外に出かけたがる本人だけではなく、家族にとっても心理的負荷はきついです。本人にも家族にも息抜きが必要でしょう。
しかし、発作をできるだけ抑える時期と捉えて、心理的リアクタンスが生まれないように、刺激が少なく、
自己有能感や自己効力感が持て、色々な楽しみを見出せる環境作りが重要だと、グループ討議や伊丹先生のコメントでした。

なかなかハードルが高いです。
でも、なんとかなる。人は必ずレジリエンス(挫折しても立ち上がる能力などの事)を持っていると信じたい。
そして、人生に立ちはだかる壁は、きっと何かのメッセージだと思いたい。
たくさんの善意ある人との縁もたくさんお持ちのお母様ですから、一人で抱え込まず、こ
れからも子に寄り添って、ご自身の楽しみも大切にして欲しいと思いました。


●2020年9月事例検討会まとめ報告

今回は、安原ドクターと伊丹先生のコラボで、医療的な見解と教育的見解の貴重なコメントを聞けた貴重な会となりました。
専門的な内容でしたので、私がまとめるには恐れ多いので、安原ドクターの講演の折に、今回のような内容をお願いしたいと思います。

さて、事例生徒の主訴は、「もの要求が強く、不適切な方法で手に入れようとしたり、対人トラブルで納得いかない叱責や罰を受けると不適切な仕返しをする」という事に対する対応です。
これまでの対応は、その都度、指導を繰り返し、やってはいけない事を書いて家では貼って読ませたりしており、その時はわかっていると言いながら、本当にわかっているのか疑問だとのことでした。
もっと効果がある指導がないかとお母様は真剣に悩んでおられます。
グループに分かれてたった10分でしたが、活発で的確な意見が出されていました。

それらの意見を受けて、伊丹先生からのコメントは、

「ポジティブ行動支援
良くない行動を不快刺激止めさせようとするのではなく、良い行動を教えて、それができた時に本人の望む結果が得られるようにする」
とコメントされました。
つまり、もの要求には頭からダメというのではなく、どのような方法なら叶えることができるか、合法的に手に入れられる良い行動を教えて、それができたら褒めて、良い行動を増やすように工夫して、環境を整えるということで、問題が起こる前の手立てを講じる事に尽きるということだと思います。

このことは、ほかのさまざまな子ども達の問題行動への対応の基本となるでしょう。
なお、事例の子の検査結果(4年も前のですが)から、知覚推理が非常に弱く、他の三つの指標は差がなく
平均のプロフィールです。知覚推理と言語理解の差が大きく、言語が優位な場合、場面に言葉で説明して
理解を促す方法が有効だと言われています。実際、指導場面ではうまくいっているケースが多いとわかりました。

ただ、今回の事例のように、強い衝動性から来る問題行動には、このような応用行動分析の手法や親の努力だけでは対応できないケースも多く、そこで重要なことが、正しい診断からの投薬治療だとドクターからのコメントでした。

事例のお子さんは小さい頃から診断も受け、療育にも3歳から通い、今も放課後デイでソーシャルスキルも受けておられますが、残念ながら医療との連携が不十分だったようです。
また、どうしても良くないところに注目しがちで、良い行動への正のフィードバックが足りないようです。
つまり、その子にとって効果的に褒めることです。
次から次に起こす不適切な行動に、家族はビクビクして、褒めるよりも問題は起こさないで欲しいという思いがいっぱいになりがちです。
大変な子育てが続いているのですから、当然とも言えます。でも、褒めるスキルは必要不可欠。


●2020年7月事例検討会報告

本当に久々の事例検討会でしたが、30人近い方にお越しいただき感謝です。
簡単に今回の事例から言える事をまとめておきます。

*小学高学年
*発達性協調運動障害等
*全般的知的能力は平均  言語理解は平均の上で最も強く、聴覚言語優位だが、各指標内下位検査間の差が非常に大きく、解釈は難しい。
*通常学級での学習参加は嫌がる。支援級で過ごすのはできる。学校外の塾には機嫌良く通う。
*学習面では、書字活動で困り感が目立ち、目と手の協応が必要な作業課題では、遅れがち、あるいは文具類や楽器の扱いに苦戦しやすい
* 行動面では、よく物にぶつかったり、溝に落ちる
* マイナスな呟きが多い
*聴覚過敏あり。ただし、場所により感じる程度は違う
*農業に興味 野菜を育てている??
*保護者の心配は今後の進路や自立への不安

見た目では本人の困り感が周囲にわかりにくいのですが、診断名から来ていると思われる症状が明確なので、合理的配慮がとても必要な事例だと思います。
学習面では、学び方が違うと理解して、書字活動では紙と鉛筆にこだわらず、ICTを活用する。
粗大運動、微細運動の活動では同年齢と同じ活動内容や習熟を求めず、できる部分で参加、道具類は出来るだけ扱いやすいものを用意。
      
通常学級には、無理に入れなくても良いととらえる。学びの場は通常学級だけではない。
マイナスな呟きが多いのは、自己効力感や自己肯定感が低い現れ。
対応は、成功体験(自分に合った学び方での成功体験)、ダメ出しや叱咤激励はやめる。褒める。
結果ではなく取り組む姿勢や過程の行動を100%目線ではなく25%目線で褒める。
自己肯定感は、大人から褒めてもらわないと育たない。
加えて、自己有能感を育てることも忘れずに。自分の存在や行動が誰かの役に立っているという実感や経験を積ます。

自己効力感、自己有能感、自己肯定感が充実して自尊感情は高まる。
進路については本人の思いを大切にする。
また、今だけをみて未来を決めないこと。
大人は子どもの成長を見守る強さが必要。
生まれつきの弱さを抱えていようと、子どもは成長する。
どんな形にしろ、学校に通うことだって様々な成長を促すはず。
過去の辛い経験を変えることはできないが、未来は変えられる。
ほんの少しかもしれないし、興味は今後変わるかもしれないけど

本人は農業をやりたいと思っているとか。すべての希望はここにある。
興味はもっとも大事にすべき支援。
この時、大人の考えの枠をはめて応援するのは控えよう。先走りしないでおきたい。
大人ができる大事な仕事は、子どもたちに生きる意欲を育む事。言葉や説教ではない。
色々あっても、人生は良いものだ、と思ってほしい。
だから、大人も日々の暮らしやおしゃべりを楽しもう。
ささやかな暮らしの中にも良く見れば感動はいっぱいあるのだから。

最後に伊丹先生の名言でしめさせていただきます。
「今が幸せだから、未来がある」

すべての人が心に留めておきたい事ですね。