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2020年度定例会まとめ:代表宮本ゆみこ

●発達障害青年に聞く−特性と付き合い、自分らしく生きる− 講師 Ten氏ゆう氏 2月21日

Zoomで開催しました。
最初の登壇者のADHDの診断を受けたゆう君は今大学生で院に進むための勉強中、弁護士を目指しています。
周りの子達が就活する中、自分には企業で働くよりも、自分のペースで働ける環境を選んだというだけあり、
自分の得意不得意を見極めて今を生きている彼の今日のテーマは、「幸せに生きるため」、
特性によるマイナスもプラスに捉える。
ADHDだから、衝動性があったから、行動力があり、色んな経験を積むことができたし、
自分に合っていることや合わないことが具体的にわかった、知識欲を満たすこともできる。
日本を出て海外での経験から常識を疑う事の大事さを語る。どんなふうに受け止めるかは自分次第、
自分に合っていた勉強法は独学、本当に色々な事を手掛けておられました。
中でも、4年間も子ども食堂のお手伝いに行っておられたとのこと。素晴らしい。

テンくんは、読み書き障害で辛い思いをしながらも、学校の先生たちにはよく助けてもらい、
今は、発達障害ハッタツソンを立ち上げて、誰にでも有効な支援を繋ぐ事業を大学在任中から展開。
もうすぐ法人化も検討しているとか。
若い人たちが、決められたレールを走る事よりも、自分がやりたい事に無から有を作り出す姿勢に心から応援。
Zoomでも、質問がいっぱい続いて嬉しい盛り上がり。
落合陽一さんだったかな、これからの時代に残る企業は、人の役に立つ事業をするところだとか。
お二人の生き様は、まさにその一言に尽きると、納得。ありがとうございました。


●限局性学習症の子の脳のお話と学習指導やソーシャルスキルトレーニングの実際 
  −安原こどもクリニックと関連する療育機関での実際−
  1月31日

当会始まって以来の5人の講師とはじめてのzoom開催セミナーです。
パソコンとの相性や通信トラブルなど、オンライン特有のミスや不慣れで、講師にも視聴者にも
多少のご不便をおかけいたしましたが、無事に終えることができました。
そして、内容は非常に濃いものだったとご報告しておきます。
安原ドクターの脳のお話は、限局性学習症に限ってコンパクトにお話くださいました。
まとめるには難しいので、また復習したいと思います。

学習支援のもこもこを立ち上げられた、稲葉社長の学び方の違いを保障した居場所作りへの思いは、ご経験からくる切実な思いから。
そのもこもこの大きな柱の一つが、心理面と教育面からのアプローチ。発達の段階で獲得させたい力を見据えた指導。ややもすると表面的だったり、ステレオタイプ、自分に都合の良い解釈をしがちな親も子も、考え方の枠組みを変える「リフレーミング」の提案。

人材育成と指導技術のスキルアップ支援は、エネルギーが必要。指導のスーパーバイザーによるサポートや定期的なスタッフの研修制度。
事例の学習指導は素晴らしかったです。アセスメントによる課題と子のニーズに応じた、無駄のない意欲を喚起するオリジナル教材の数々。これは、子どもは意欲的になり、自己有能感や自己効力感を持つな、と納得。
最後のソーシャルスキルトレーニングのお話も興味深く、面白かったです。こちらも手作りの教材が素晴らしい。

紹介してくださった事例の中で、次のエピソードが印象的です。
「他者感情の理解が弱くて、何回も教材や個別指導で関わってきた結果、すごく理解できるようになった。
褒めると、彼が言ったのは、今でも分からん。でも多分人はこういう風に思うんだろうなってわかる」
これ、私も何度か当事者から聞いたことあります。

そうなんですよね、他者感情が弱くても、同じように感じることができなくても、学習することで学ぶということですよね。それは、説教やダメ出しでは学べないことで、必ず、本人を否定しないで、受け入れる居場所があることで可能なんだと思います。


●ポジティブ行動支援講座報告  講師 伊丹昌一氏 10月18日

会場が狭いことや、コロナの影響で昨日は会場参加は会員のみ参加で開催しました。
ZOOMでも配信しました。
伊丹先生が今回、最も伝えたかった事は、
「療育は、あるいは課題の設定と指導計画は、子どもが幸せになるためのものであり、仔細な不適切な行動を修正したり、変える事ではない。
また、生まれつきの特性は障害ではなく、症状である。神経発達症と名称も変わっている。
子どもに障害として伝えるのではなく、特性として伝え、肯定的な自己認知を育む事が親も含めた支援者の役目。時には、支援者の期待を捨てる適切な判断も必要。
過去の嫌な経験や子育ての後悔は変えられないが、未来は気がついたここから変えられる。子どもは必ず成長する。」
という事だと思いました。

これは安原ドクターも同じ事をおっしゃっています。
親として、支援者として、この基本をどっしりと捉えていないと、関わりのミスリードが起こると感じます。
他にも、細かなスキルをたくさん教えていただきました。
でも、混沌の中にいる我が子に向き合う覚悟と同時に、私たち大人が人生を楽しむ姿を見せているかも大事だと
繰り返しおっしゃっていたと思います。
子どものそばで、趣味を見せる、という事ですが。大袈裟な趣味ではなくても良いと思います。

私は、今はちょっと飽きてきましたが、ちょっと前まで、手作りパンに凝っていました。
ウイルス感染怖い怖い風潮であまり人様に配れず、作った作品はほとんど息子の胃袋へ。
パンを捏ねて発酵すると膨らむ様子に愛しさを感じ、つい笑顔が溢れます。手作りは時間が経つと美味しくはありませんが、焼きたては幸せの味です。
発酵するパンに一喜一憂するアホな姿を見せるのも大事だと思います。
きっと身近な趣味は誰にでもあると思います。


●もっとICTを活用しよう  講師 高松 崇氏  7月5日

昨日は、自粛以来、やっと当会の講座を開く事ができました。高松先生にも、当会の講座が自粛後の初講座だ、とお聞きして、やっぱり個人的には日本の過剰な自粛意識に首を傾げてしまいます。
45件のセミナーがキャンセルだったそうです。

一方、嬉しい反応もあります。
以前はこんなに貴重な高松先生のセミナーに参加してくださる会員が少なかったのですが、
会場から求められた参加人数はいっぱいで,ドタキャンなし。今回は子どもたちも来てくれて熱心に聞いていました。
時代のニーズを感じます。コロナによるリモートも結構影響しているのでしょう。
読み書き計算障害対応に、便利なアプリも教えていただきました。
また、コロナ騒動の経験も含めて今後の世界がどう変わっていくのか、これまで必死に勉強したり、習得しようとしていた事に時間を割く無意味さも明確に指摘されて、納得、納得。

発達検査から具体的支援法を提言し続けている私も非常に参考になり、今後は自信を持ってもっと果敢に提言してゆこうと思いました。
更に、日本の頑なな平等意識が教育界に及ぼすマイナスな影響、
例えば、タブレットでの学習が有効と分かると、全員にタブレットを渡して、アナログ学習を軽視する。
ICTを使うと助かる子は確かにいるけど、紙と筆記具の速度には敵わない。
だから、紙と筆記具の方が楽な子には、なんでもかんでもタブレットを使わす事はないはず、
一人一人に合わせた指導の中にICTを上手に取り入れれば良いのだと。
わかっているつもりでも、映像でタブレットで学ぶ子どもたちの様子をテレビで見ると、なんとなく世の中が進んでいるような感覚に襲われる感性を、愚かだと指摘されて、ハッとします。

そうだな、多くの情報は発信者が都合よく加工し、印象操作されていることも多いから、真相を見誤る事が多いですね。気をつけないと。
こうして時々、高松先生の旬な動向をお聞きして、考え方をリフレッシュする事は大事だと改めて実感。

講座の中で、私が心を止めた言葉を紹介しておきます。

*「特別支援教育の中では、道徳よりも人権を教える事が本筋。
なぜなら、道徳は国により、地域により、時代により変わるもの。人権は世界普遍のもの。」
そうですよね、例えば読み書き障害の子に支援がなければ情報の入手不平等が起きる。情報のバリアフリーは、まさに人権の獲得を意味しますね。
*音読より黙読。
音韻操作につまづいている読み障害の子は、文字を音に変換するのが苦手。
そんな子に正確な音読を強いても、読む事に意識が向いて内容までは至らない。黙読の方が理解を促しやすい。
*文字入力よりも音声入力
音韻操作でつまづいている子には、特殊音節表記は非常に難しい。文字入力はこの特殊音節表記ができないと打ち込めない。音声入力なら、特殊音節表記習得にかける時間も達成感が得られない不全感からのモチベーション低下も防げる。

などなど、たくさんのご教示をいただきました。

当日のレジメは、ATDSのホームページの研修会・プレゼン資料をご覧ください。